徳島県阿南市水井町
弥生時代終末〜古墳時代初頭にかけての辰砂採掘遺跡 那賀川をさかのぼり、鷲敷町との境には四国霊場二十一番札所の太竜寺がある。この太竜寺の北側の「若杉山」の標高140〜170mの山腹斜面に遺跡が広がる。1950年代には遺跡の存在は知られていたが、1984年(昭和59年)からの徳島県博物館による発掘調査で、その実態が明らかとなった。
石杵(いしきね)・石臼(いしうす)や辰砂(しんしゃ)原石が大量に見つかっている。辰砂は、赤色顔料の「朱」の原料で、石杵や石臼などの石器を用いてこれを朱に加工する工程を若杉山遺跡で行っていたことが分かった。出土土器から弥生時代の終わりから古墳時代の初めまでが朱生産のピークと考えられる。
全国的にみても辰砂を採掘する遺跡として唯一のもの。水銀朱は古墳時代前期などに古墳の埋葬主体に大量に使用される。若杉山遺跡で産出した水銀朱も各地の古墳築造時に運び出されていったものと想定され、古墳時代の広範囲な流通を知る上でも非常に重要な遺跡である。
若杉山遺跡から出土した水銀朱精製用の石器類 写真提供 徳島県立博物館
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